スマートフォンにおける1タップ個人認証
あなたはスマートフォンを操作するとき、自分がどうタップしているか意識したことはありますか?実はそのタップは、あなたを特徴付けるユニークなものです。この研究では、スマートフォンを操作するときの1回のタップで個人を認識することに成功しました。将来、自分にしか反応しないオンラインショッピングの「購入ボタン」やメールの「送信ボタン」ができるかもしれません。
温冷刺激による錯覚を利用した仮想辛味提示
辛味は料理の美味しさを構成する重要な要素の1つです。本研究では、ヒトは辛味を熱痛覚として知覚することに着目し、サーマルグリル錯覚により舌に擬似的な痛覚を生起させることで辛味を提示するシステムを提案しています。仮想的な辛味を提示できれば、同じ味の料理でも個人で好きな辛さに調節したり、健康上の理由で辛い食事を控えている人でも気軽に辛いものを食べることができたり、食生活をより豊かにすることができると考えています。
電気的筋肉刺激を用いたバーチャル食感提示
食べ物のおいしさは、味だけでは決まりません。例えば、盛り付けの美しさやジュージューとステーキを焼く音、料理を口にした時に鼻に抜ける風味、レストランの雰囲気や誰と食べているのかなど、これらが複雑に絡み合って知覚される複合的な感覚です。本研究では、外部から与えた電気刺激によって咀嚼筋を動かして、歯応えといった食感を提示するシステムの構築しています。「こだわりの食感」、「新食感」、「やみつきになる食感」を提示できれば、よく噛む習慣がつき、おいしいだけでなく、健康な食生活をサポートできると考えています。
運動支援のための移動速度感覚制御方式
動く歩道の上を歩くと、いつもより速く歩けて気分がいいと感じることがあります。そうした颯爽と風をきるような歩行体験がどこにいても可能になれば、普段のウォーキングが楽しく感じられるかもしれません。そこで人の速度知覚の多くが視覚に頼っていることを利用し、歩行中の体感速度を変化させるべく、AR技術を用いた視覚刺激提示システムの構築を目指しています。
自然なしぐさを利用した拡張現実感インタフェース
時刻表が遠くてよく見えない、また、帰りのために発車時刻を覚えておきたい。そんな時はカバンから出したスマホでパシャリが一般的。でも、ARシステムを身に着けているのなら、よく見ようとちょっと眼を細めれば見たい場所が拡大されたり、これ覚えなきゃとしっかり見ればその情報が眼に焼き付くというように、わざわざコマンドで操作しなくてもシステムが人のしぐさを認識して、自動でサポートしてくれます。本研究では、このようなシステムを構築し、人の視覚を拡張することを目指しています。
電気的筋肉刺激を用いた重量知覚制御
買い物や掃除など日々の生活の中で物を運ぶ作業はたくさんあります。そんな毎日の家事が少しでも楽になればと、外部から筋肉に電気刺激を与えることで、モノの重さ知覚を変化させるシステムの構築を目指して、研究を進めています。
視線の軌跡を利用した個人認証技術
自分自身が鍵になる生体認証は、ID/パスワードを用いた認証に比べて、高いセキュリティを実現できるため、銀行のATMやスマホやPCのロック解除など、さまざまなところで利用されるようになってきました。一方で、寝ている間に家族に指をあてられスマホのロックを解除されたり、映画の中では危険な目に遭ったり、身体の特徴を使った認証方式はまだ破られる可能性があります。そこで、視線で描いた軌跡を使って個人を識別する技術について研究を進めています。視線で描いた軌跡なら盗まれることもなく、安全に利用できると考えています。
ユーザの姿勢を考慮した端末の把持姿勢認識
スマホで Web を見るとき、映画を見るとき、持ち方を変えればスマホがそれを判断して、画面の表示をいい具合に回転させてくれます。でも、映画を見ながらソファに横になっても、画面はクルっと回転し、意図しない表示に。そこで本研究では、画面をタッチしたときに、いまどのように持たれているのか、ユーザの姿勢も考慮して判定するシステムを構築しています。
両眼視差インタフェース
あなたの人差し指は何本ありますか?このインタフェースは2本の人差し指を使ってスクリーン上のオブジェクトを離れた場所から操作するインタフェースです。2本の人差し指と言っても、両手の人差し指でなく、ユーザの右手にある2本の人差し指を使います。普段は見ることのない、もう1本の人差し指を活用することで、つまんだり、引っ張ったり、移動させたり、現実世界においてモノを扱うのと同じ感覚で、スクリーン上のオブジェクトを操作するシステムについて研究を進めています。
ウェアラブルARのためのランダムフォレストを用いた輪郭検出手法
さまざま電子情報を現実世界に重ね合わせるARシステムでは、人がどこからどこを見ているのかを正確に認識することが重要です。カメラ映像内のマーカや自然特徴点などを検出し、人の視点位置を推定する手法が数多く提案されていますが、人が首を振る速度は大きく、HMDに搭載したカメラの映像に発生する横ブレが問題になります。そこで、機械学習手法のひとつであるランダムフォレストを用いて映像の横ブレに頑健な輪郭抽出を行う手法について研究を進めています。
仮想平面を利用した飛行ロボット操作手法
ロボットを見ながら操作すると、右に移動させようとしたのに左に動いたなんてことがよくあります。ラジコンのような3人称視点での操作は、ロボットのつもりになって操作しないと意図通りの操作が困難です。3次元を自由に移動する飛行ロボットに対して、直感的に容易に指示できるよう、手書きによる操作インタフェースに関する研究を行っています。
CoCoMo: 端末の移動を考慮したマルチディスプレイ
スマホが爆発的に普及し、2人に1人はスマホを持つようになりました。旅行に行った時の写真をみたり、地図を参照したり、その使い方は様々です。しかし、例えば地図全体を表示すると小さくなって現在位置の周囲の状況が分からず、拡大すると目的地が画面外に出てしまって、目的地への方角や距離感が分からなくなるといった、画面が小さいことによる問題が発生します。そこで、誰もが持つスマホやタブレットを組み合わせて大きなディスプレイとして利用するマルチディスプレイシステムに関する研究を進めています。このシステムでは、端末を自由に移動させながら、表示するコンテンツを操作する手法を提案しています。
拡張現実感におけるクロスモダリティを用いた歩行支援システム
クロスモーダル知覚は複数の異なる感覚モダリティ感の相互作用を伴う知覚で、入力した感覚刺激とは異なる知覚刺激を提示できます。実際とは異なる歪んだ世界を人に見せることで前庭感覚を錯覚させて、疲労のないウォーキング支援を目指して、研究を推進しています。
映像とのインタラクションを可能にするバブルディスプレイ
より多彩な表現を実現するために、水中に発生させた気泡へプロジェクタで映像を投影する新しい水ディスプレイを提案しています。コンテンツがユーザの起こす波や渦に反応する、立体的でかつ柔軟なインタラクションが可能なディスプレイの構築を目指しています。
視覚と聴覚のクロスモーダルを用いた音像定位システム
モノの存在を知覚するには、見て感じるだけでなく、聞いて感じることも重要です。拡張現実感における仮想オブジェクトのリアリティを増強するために、視聴覚クロスモダリティを用いて、空間中の任意の場所に音像を定位させるシステムの実現を目指しています。
拡張現実感におけるブラーエフェクトに基づく奥行き表現方式
拡張現実感アプリケーションでは、仮想物体と現実世界を融合させるときに違和感があると、ユーザが正しい距離感を感じることが難しくなります。仮想オブジェクトにブラーエフェクトを適用して、直感的にモノの位置関係が理解できる自然な拡張現実世界の実現を目指しています。
拡張現実感における擬似触覚を用いたインタフェース
拡張現実感の技術を用いて、実際には存在しないモノを目の前に表示するだけでは、高いリアリティを実現することは困難です。そこで、視覚だけでなく、触覚や聴覚、嗅覚、味覚といった様々な感覚を同時に刺激することでより高いリアリティを実現する技術が盛んに研究されています。その一方で、多くの感覚を刺激するためには、そのための仕組みが必要で、システムが大規模になってしまうという問題があります。
本研究では、視覚と体性感覚の相違によって生起する擬似触覚という感覚を用いて、ヘッドマウンティッドディスプレイ以外は何も身に付けなくても、拡張現実感においてリアルな触知覚を実現することを目標に研究を進めています。
拡張現実感における視触覚融合インタフェース
セカイカメラなどの登場により、拡張現実感が手軽に体験できるようになってきました。また、拡張された世界を覗くためのヘッドマウンティッドディスプレイも小型でスタイリッシュなものも発売されるようになり、仮想の人が歩き回ったり、仮想の動物が走り回る街の中を歩く日も近いかもしれません。
そのような背景から、仮想ペットに触れたり、仮想動物がぶつかってきたときには、その衝撃を感じることができるようなインタフェースを開発することで、ただ見えるだけではなく、触れることのできる、よりリアルな世界の実現を目標に研究を進めています。
色盲者支援のためのウェアラブルインタフェース
さまざまな情報が溢れている現代社会では、「色」はとても重要な情報の伝達手段のひとつになっています。そのため街中には、カラフルなポスターや看板などでいっぱいです。しかし、人の色覚は十人十色、おなじ看板であっても、同じように見えているとは限りません。場合によっては、全く異なる見え方をしていることもあります。
すべての人に正しく情報を伝えるために、色の区別が困難なモノや場所があるということを提示するインタフェースの実現を目標に研究を進めています。